第409回
中国の結婚式(2)

新郎新婦が舞台に上がると、まずは、新婦が
「お父さん、お母さん、今まで育ててくれてありがとう」
をやります。

その後、新郎新婦のお父さんの挨拶、
新郎新婦の勤め先の代表者のスピーチが続きます。
スピーチ、と言っても、
日本の結婚式の様な長いスピーチではなく、
「結婚おめでとう」とか、「体に気を付けて」とか、
二言三言言うだけの簡単なものです。

ですので、何の前打ち合わせもなく、司会者が突然
「では、次に、新婦の勤め先の代表者の方のスピーチです」
と言って、新婦が私を指差した時には、
血圧が30ぐらい上がるほど緊張しましたが、
他の人と同じ様なおめでたい事を言って、
何とか切り抜ける事ができました。

それが終わると、今度は、
新郎新婦がグラスを持った腕を絡めてお酒を飲む
「交杯酒(じゃおべいじょう)」や、
新郎新婦が揃って天に一礼、参列者に一礼、
そして、これから末永くよろしく、の意味でお互いに一礼する
「拝天地(ばいてぃえんでぃー)」など、
中国の結婚式の定番儀式が行われます。

そして、これらのイベントが終わると、
食事が運ばれてきてご歓談、という事になります。

しかし、ご歓談の間も、新郎新婦は食事をしたり、
休んでいたりする暇はありません。
新郎新婦は各テーブルを回って
参列者に挨拶をしなければなりません。

家族、親族のテーブルでは、
比較的穏やかな祝福のされ方なのですが、
会社の同僚や友達のテーブルに来ると、
新郎はアルコール度数が50数度もある
白酒(ばいじょう)を何杯も飲まされ、
手荒い祝福を受けます。
日本の結婚式とは、雰囲気が全く違う中国の結婚式ですが、
この部分だけは、妙に日本の結婚式と似ています。

新郎が白酒を飲まされている間、新婦は、
参列者の人たちにアメを食べさせたり、
タバコに火をつけたりします。
これはそれぞれ「喜糖(しーたん)」、
「喜煙(しーいぇん)」と言って、
たいそうな縁起物なのだそうです。

そんなこんなで、宴もたけなわにも関わらず、
参列者はご飯を食べ終わると、
三々五々帰っていきます。
日本の結婚式では、
司会者が結婚式の最後を締め括ったり、
新郎新婦が出口で参列者にお礼を言って
引き出物を渡したりするのですが、
中国の結婚式ではそういった事もなく、
フェードアウトする様に、
なんとなく終わっていくのでした。


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