第392回
「反日」という麻薬

しかし、中国政府にとって、
「反日」は麻薬の様なものです。

良く効くし、便利なので、
一回使うとくせになるのですが、
何度も使っているうちに、
大量に注射しないと効かなくなってきます。
中国政府の日本に対する態度も、
より強硬に、より強硬にならざるを得ません。

ですから、日本大使館や領事館が
群集の投石によって壊されても、謝るどころか、
「元々の原因は日本側にあるんだから、
日本が先に謝れ!」という
国際ルールを無視した、
超強硬な態度に出ざるを得ないのです。

中国政府が日本に対して謝れば、
国民は政府の対応を「弱腰」とみなし、
矛先は中国共産党に向けられてしまうでしょう。
それは中国共産党が最も恐れている事態です。

ただ、「反日」という麻薬をたくさん服用したところで、
中国にとってはどうという事はないのかもしれません。
「国内の求心力」と「日本との関係」。
中国政府にとって、どちらが大切か、と言えば、
どう考えても「国内の求心力」です。

日本は資源がある訳でもないし、
強大な軍事力をもって攻めて来る訳でもありません。

もし、極端な話、中国が国内の日本人と日本企業を
全て締め出したとしても、
一時的に落ち込む事はありこそすれ、
中国経済に壊滅的な影響が出る事はないと思われます。

「安価な労働力を背景にした世界の工場」と
「地球上に残された最大且つ最後の巨大市場」を狙って、
中国とビジネスをしたい国はいくらでもあります。
逆に、締め出されて困るのは
中国への依存度が高まっている日本の方です。

中国が「お前以外にも女はいくらでもいる!」状態なのに対し、
日本は「あなた無しでは生きていけない...」状態なのです。

中国共産党にとっては、
「「反日」で国内の求心力が保てるのならば、
日本1国との関係などどうなっても構わない」
というのがホンネなのかもしれません。


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