第391回
「反日デモ」、私の見方

最近、週末になると
中国各地で「反日デモ」が行われています。
私が住んでいる北京でも、
日本大使館や日本料理店に投石がされるなど、
被害が出ています。

これらが日本で大々的に報道されている為、
連日の様に日本から
「大丈夫ですか」というメールを頂いておりますが、
現状、私も家族も無事ですし、
仕事も滞りなくできています。
ありがとうございます。

ただ、中国はこれから、
第一次世界大戦後の反日運動である「五四運動」の5月4日、
日中戦争のきっかけとなった「盧溝橋事件」の7月7日、
満州事変の発端となった「柳条湖事件」の9月18日と、
毎年恒例の「反日シーズン」に入っていきます。
状況を注視しながら、
安全第一で行動していきたい、と思います。

今回の「反日デモ」については、
日本でもいろいろな報道がなされていますが、
私は、日中関係という外交の問題としてではなく、
「中国共産党の権威の低下」という内政の観点から
一連の動きを見ています。

第358回「共通の敵」でもお話しました様に、
今の中国共産党は、
国民との間になんらかの「共通の敵」を作らないと、
求心力を保てない所まで来てしまっています。
そんな中で、最も「共通の敵」に仕立て易いのは、
やはり、戦争で中国を侵略した日本です。

1972年の日中国交回復時の様な
「過去は精算して、日本とは仲良くする!
文句のあるやつは一歩前に出なさい!」的権威は、
今の中国共産党にはないのです。

ですから、中国共産党としては、
日本にあまり「いい人」になってもらっては困るのですが、
最近の日本は期待通りに「悪役」を演じてくれています。、

靖国問題、日本の国連常任理事国入り問題、教科書問題、
尖閣諸島問題、東シナ海ガス田問題。
これだけたくさんの問題が一気に噴出して、
そこにインターネットが加われば、
そりゃ「反日デモ」も起こりますわな。

「反日」が盛り上がっている間は、
国民は共産党内部の腐敗問題や、
中国政府の経済政策の失策を忘れてくれます。
もしかすると、「反日」をキーワードに、
香港、マカオ、延いては台湾の中華民族が団結し、
台湾統一に良い影響があるかもしれません。

中国共産党にとって、今回の「反日デモ」は、
コントロールが効かなくならない限り、
悪い事ではないのです。


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