第373回
6億人の「中産階級」マーケット
先日、中国の国家統計局が
国民に対する大規模な収入調査を行いました。
有効回答者数26万人以上、4ヶ月の期間と、
600万元(9,000万円)の費用を費やした、
大調査だった様です。
この調査の結果に基づき、
国家統計局は「中国の「中産階級」の世帯年収は、
6万元(90万円)〜50万元(750万円)である」
という定義を導き出しました。
90万円〜750万円、というと、えらく幅が広く、
いわゆる「中産階級」像が絞りにくいのですが、
ボリュームゾーンは
6.5万元(97.5万円)〜18万元(270万円)との事ですので、
やはり、「中産階級」という範囲の中でも、
年収が比較的下の方の人が大部分の様です。
国家統計局によれば、この世帯年収に該当する人は、
現在は全人口の5%に過ぎないのですが、
2020年には45%まで拡大する事が見込まれている、
との事です。
中国の人口は13億人ですので、
現在、6,500万人の「中産階級」は、
今後15年で、6億人まで増える、という事です。
6億人の「中産階級」マーケットですよ!6億人!
これが、中国が「地球上に残された
最大かつ最後の巨大マーケット」と呼ばれる所以です。
しかし、「中産階級」が増えるから、と言って、
高額商品がバンバン売れる様になるか、というと、
そういう訳ではありません。
日本の平均世帯年収は約650万円、
人民元にすると43万元です。
この金額は中国の「中産階級」の上の方、
という感じですが、
そのボリュームゾーンを考えれば
「中国の「中産階級」の世帯収入は
日本の「中産階級」の1/4ぐらい」、
という感じでしょうか。
日本人の1/4の収入、となると、
私たち日本人が日本のモノやサービスを持ってきて、
日本と同じ値段で売っても、
「中産階級」の人たちには、
高すぎて買えないかもしれません。
現地生産でコストを抑えて値段を下げ、
この大きな「中産階級」マーケットを取りに行くか。
もしくは、中国の人たちにはまねのできない
オンリーワンの商品で、値段を下げずに、
小さくても、たくさんお金を持っている
「ブルジョワ階級」マーケットを狙いにいくか。
私たち日本人が、
中国の人たちにモノやサービスを売るに当たって、
まずは、どちらのマーケットを狙いにいくのか、
はっきりとさせる必要がありそうです。
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