第374回
「ビッグマック指数」と「ラテ指数」

イギリスの経済誌・エコノミストは、
購買力平価の考え方に基づき、
各国の通貨の実力を測る手段として、
1986年から毎年、
「ビッグマック指数」というのを出しています。

これは各国で売られているビッグマックの価格を調べ、
その価格をその時の為替レートで米ドル建てに換算し、
米国内でのビッグマックの販売価格2.80ドルと比べて
割安か割高かによって、
その国の通貨が過小評価されているのか、
過大評価されているのかを判断するものです。

マクドナルドは世界120カ国に店舗を展開し、
どの国でも同じ品質のものを提供していますので、
「ものさし」として使いやすい、という事です。

現在、中国の麦当労(まいだんらお、マクドナルド)では、
ビッグマックが10.5元で販売されています。
これを現行の人民元のレート1ドル=8.28元で
米ドル建てに換算すると、1.27ドルになりますので、
米国内で販売されている価格、2.80ドルより、
55%も安い、という事になります。
つまり、人民元は米ドルに対して、
55%も過小評価されている、という事です。

この結果を見て、アメリカ人は
「ほら見ろ!人民元は安すぎるんだ!
人民元の適正レートは、
10.5元と2.80ドルが同じ価値になる、
1ドル=3.75元だ!」などといきり立ちます。

しかし、同じエコノミスト誌が昨年から始めた
「ラテ指数」を使うと、
人民元のレートは現行の1ドル=8.28元で
ほぼ適正水準である、という結果が出てしまいます。

「ラテ指数」とは、「ビッグマック指数」と同じ方法で、
スターバックスのトール・ラテの各国の販売価格から、
その国の通貨が過小評価されているのか、
過大評価されているのかを判断するものです。

中国の星巴克(しんばーかー、スターバックス)では、
トール・ラテは23元で販売されています。
これを現在の人民元のレート1ドル=8.28元で
米ドルに換算すると2.78ドルになります。
この価格は、米国内での販売価格2.80ドルと、
ほとんど変わりません。

さて、ここで問題です。
「ビッグマック指数」と「ラテ指数」。
どちらの指数が現行の人民元のレートを
正しく評価しているのでしょう。


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