第339回
中国のマイカーブームに早くもかげり

中国のマイカーブームに
早くもかげりが出て来ている様です。

乗用車の販売台数は今年5月以降減少し続け、
年末までに中国の乗用車市場全体で、
40万台もの在庫が発生すると予測されています。

販売台数減少の直接的な原因としては、
「第324回 自動車ローン、5割以上が不良債権」
でもお話しした通り、
銀行の自動車ローン貸付の審査が
厳しくなった事が挙げられます。
いくら中国の人たちが豊かになって来ている、
といっても、
即金でマイカーが買えるほどではない様です。

即金でマイカーを買えるお金を持っている人でも、
自動車メーカー同士の
値引き合戦が激化しているのを見て、
買い控えている人もいる様です。
既にマイカーを買った友人はみんな
「もうちょっと待てばよかった」と後悔していますし、
販売店に行けば、同じ車種でも
毎回どんどん値引き幅が大きくなっていますので、
「もうちょっと様子を見てみるか」というのは、
当然の消費行動です。

一方の自動車メーカーは、
マイカーブームに乗り遅れまいと、
ニューモデル投入、増産を繰り返して来ましたが、
一旦売れなくなると、
販売量減少による稼働率の低下を避ける為、
どんどん値引きをし、
その値引きが更に消費者の買い控えを誘う、
という悪循環に陥っています。

そこに追い討ちを掛ける様な、
ガソリン価格の上昇です。
今、中国では「車を買えば油が買えず、
油を買えば車が買えず」と言われており、
ガソリン価格の上昇は、
マーカーブームに「油を注ぐ」のではなく、
「水を注す」要因となっています。

中国でマイカーブームが始まってまだ2年。
マイカーブームに限らず、
日本で4-5年掛けて起こる事が、
今の中国では1-2年で起こってしまっている様な気がします。

スピードの速い今の中国では、
参入と撤退のタイミングを一歩見誤れば、
儲ける機会を逸するどころか、
手痛い仕打ちを受ける事にもなりそうです。
「景気の良い中国ならば、何をやっても儲かるだろう」
なんていう甘い事は、絶対に無いのです。


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