第324回
自動車ローン、5割以上が不良債権

中国のマイカーブームは止まる所を知りません。
このマイカーブームに拍車をかけたのが、
自動車ローンの普及、と言われています。

しかし、やっぱりと言うか、案の定と言うか、
借りた自動車ローンを返さない人が続出し、
貸出総額の5割以上が不良債権化している様です。

2004年6月末時点での、
中国の自動車ローンの貸出残高は
1,800億元(2.7兆円)強。
内、回収が困難となっている債権は
945億元(1.4兆円)。
不良債権率は53%にも上ります。
特に、貸し付けに積極的だった農業銀行の状況は深刻で、
焦げ付きは300億元(4,500億円)にも上るそうです。

元々、中国の銀行は個人への貸し付けには、
非常に消極的でした。
貸し付けどころか、クレジットカードの利用限度額でさえ、
銀行の預金残高が上限でした。

クレジットカードを使おうとすると、
そのお店がいちいち銀行に電話して、利用料金を告げ、
未決済の利用金額の合計が
その時点の預金残高の範囲内であれば、
クレジットカード決済の許可が出る、
という手続を踏まなければなりませんでした。
名前はクレジットカードですが、
これじゃ全然、クレジット(信用貸し)じゃありません。

それが、2002年の後半頃から、
自動車ローンの市場が拡大し、
銀行は各行とも、顧客獲得の為に、
貸出基準を大幅に緩めました。
当時聞いた話では、何しろ定職にさえ就いていれば、
貸し付けが受けられる、という話でした。
結局、これが不良債権化の原因となりました。

更に悪い事に、マイカーブームが始まってから、
自動車の価格はどんどん下がりました。
これは中国のWTO加盟時の取り決めにより、
輸入自動車に対する関税率が
どんどん下がっている事と、
マイカーブームの波に乗って、
より多くの顧客を獲得しようとする
自動車メーカーの競争が激しくなっている事が原因です。

ですから、早い時期にマイカーを買った人は、
自分が買った車の価値がどんどん下がっていくのに、
当然ながら、ローンは買った時の高い金額のまま
返済しなければなりません。
多くの人がこの事実にやり場の無い怒りを覚え、
返済の拒否、という行動に出ている様です。
そんな、無茶苦茶な...。

今後、各銀行は自動車ローンの貸し出し基準を厳しくし、
不良債権の増加を食い止める方針、との事です。
マイカーブームもこの辺で一息吐くのかもしれません。


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