第340回
「中国のヤナセ」
中国の自動車業界では、値下げ競争が激化しています。
これは、中国国内で自動車を生産しているメーカー同士の戦い、
という側面もあるのですが、一方で、
中国国産車と輸入車との戦い、という側面もあります。
2001年12月、
中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した時点での、
中国の輸入車に対する関税率は80-100%でした。
これを毎年引き下げて、
2006年には25%にする、というのが、
中国がWTOに加盟するに当たっての国際公約です。
2005年は関税率を30%に引き下げると共に、
自動車の輸入割当制度を廃止する事になっています。
車両価格が200万円の日本車を
中国に輸出して販売しようとした場合、
2001年末時点では80-100%の関税が課されていましたので、
中国国内の販売価格は360-400万円となっていました。
車両価格が200万円、というと、
日本ではカローラクラスの車しか買えませんが、
360-400万円出せば、クラウンが買えます。
クラウンの値段でカローラを買う。
誰だっていやですわな、そんなの。
しかし、それ以前の問題として、
収入が日本人の1/5ぐらいしかないのに、
自動車の価格が日本の2倍近くする、という事は、
日本人と比較すると、
10倍ぐらいの値段で自動車を買う感覚ですから、
サラリーマンが輸入車を買う、なんていう事は、
夢のまた夢だったのです。
それが、2005年は関税率が30%まで下がりますので、
車両価格200万円の日本製カローラは、
260万円で買う事が出来る様になります。
これならちょっと無理をすれば、
普通のサラリーマンでも、
手の届かないレベルではありません。
こうした関税率の引き下げにより、
今後、外国車の輸入が
活発になってくる事が予想されます。
自動車の輸入販売で財を成す、
「中国のヤナセ」みたいな会社も
出てくるのではないでしょうか。
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