第190回
輸出入公司と取引する利点

外国企業が輸出入公司と取引する利点もあります。
まず、輸出入公司には英語を始め、
日本語、ロシア語、フランス語など、
各国の語学に秀でた人材が揃っていますので、
外国企業は自分の母国語で中国企業と貿易をする事が出来ます。

大手の輸出入公司の中には、
日本に事務所を設けて
日本語を話せる駐在員を置いている会社もありますので、
こうした企業とは、
日本にいながら日本語で中国との貿易が出来る事になります。

しかし、言葉の問題よりももっと有り難いのは、
輸出入公司の人たちは国際貿易のプロですので、
国際的な商慣習に沿って取引を進めてくれる事です。
中国では未だに
「契約とは、その時点での状況に基づいた合意事項を
書面にしたものであって、契約締結後でも、状況が変われば、
契約内容もその変化に合わせて変わるのが当たり前だ」
と思っている人が多く、
この国際商慣習との乖離に、
中国との貿易を生業とする、
あまたの外国商人が泣かされてきました。

逆に言えば、何か問題が起きれば、
輸出入公司の人たちは中国的商慣習と国際的商慣習との
板挟みにあって苦労をする事になります。
こういう時に、その輸出入公司が
工場側をちゃんと説得出来るかどうかで、
その力量を測る事が出来ます。
どうせ付き合うなら、工場側を押さえ込める、
力のある輸出入公司とお付き合いしたいものです。

この輸出入公司、最近では徐々に影が薄くなりつつあります。
というのは、中国政府は近年、力のある大きな工場に、
独自の輸出入権を与え始めたからです。
大手の工場が自社で輸出入を始めると、
輸出入公司に残されるのは、
自社で輸出入の出来ない
中小工場ばかりになってしまいますので、
おのずと貿易額や利益も低下してしまいます。

こうして、多くの工場が輸出入権を与えられる一方、
輸出入公司は縮小、淘汰の傾向にあるのですが、
今まで中国の商慣習でやってきた工場が、
輸出入権を与えられたと同時に
すぐに国際的な商慣習で取引が出来るとは思えませんので、
当分、工場との直接取引には
トラブルが付いて回る可能性が高いのではないかと思います。


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