第189回
輸出入公司との付き合い方

中国にとっては利点が大きい輸出入公司なのですが、
外国企業が中国と貿易をする際には、
輸出入公司の介在により、問題が起こる事もあります。
というのは、中国の工場と直接交渉をして、
商談が成立してから輸出入公司に間に入ってもらう為、
輸出入公司の中には
「輸出権を貸してやってる」ぐらいの意識しか持っていない所もあり、
何か問題が起こった時に、契約当事者にも関わらず、
中国の工場とのメッセンジャーボーイに徹し、
全く責任を取ろうとしない、という事態がまま発生します。

輸出入公司から見れば、
工場と外国企業の間の交渉の経緯も分からないし、
コミッションと言っても2-3%しかもらえないので、
問題が起こった時の責任まで取れない、
というのは分からないでもないのですが、
契約当事者になるからには、
契約責任をきちんととって欲しいものです。

こうした事態を避ける為には、
買い付けの話を、工場直ではなく、
最初から輸出入公司に持っていった方が良いかもしれません。
この場合、輸出入公司もたくさんコミッションを取りますので、
割高の買い付けになってしまいますが、
輸出入公司が普段から付き合いのある工場からの出荷ならば、
デリバリーも安定しますし、
何か問題が起きた場合も
輸出入公司が責任を回避する可能性が低くなります。

特に、初めて中国から物を仕入れる場合は、
最初から輸出入公司と取引をした方が安全です。
工場と交渉して、後から輸出入公司に入ってもらう、
というやり方は、
中国の製品を最も安く仕入れられる方法ではあるのですが、
やはりリスクが伴いますので、中国と長年取引をして、
業界の事情も良く分かった上でやられた方が良いかと思います。

あと、余り小さい金額の輸出入は、
輸出入公司に請け負ってもらえない、という可能性もあります。
例えば、100万ドルの輸出でも、
1万ドルの輸出でも通関等輸出手続にかかる手間は、
然程変わりません。
1万ドルの輸出でコミッションが3%だったとしたら、
輸出入公司の収入は300ドルにしかなりません。
いくら国有企業の従業員の給料が安くても、
これではやっていけません。


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