第188回
「進出口公司」の役割
中国はWTOに加盟したとは言え、
まだまだ自由貿易国家とは言い難く、
輸出入は事実上国家にコントロールされています。
その尖兵となって働いているのが、
前回ちょっとお話した輸出入公司です。
中国語では輸入は「進口(じんこう)」、
輸出は「出口(ちゅーこう)」と言いますので、
輸出入公司は「進出口公司(じんちゅーこうこんす)」となります。
中国企業が外国企業から物を買ったり、
外国企業に物を売ったりする場合は、
基本的に全て、輸出入権を与えられている
国有の輸出入公司を経由しなければなりません。
私企業が勝手に外国企業と貿易を行う事は出来ません。
中国政府は、外国企業との輸出入の窓口を
輸出入公司に絞る事によって、
輸出入の実態の把握がし易くなります。
更に、輸出量を減少させたい場合、
各輸出入公司に与える輸出枠を減らすなど、
輸出入のコントロールを容易にする事が出来ます。
例えば、輸出入権を持たない中国の工場が
日本企業に自社製品を売りたいと思った場合、
中国の工場は日本企業と直接商談をしても構いません。
但し、商談が成立して契約、となった場合、
中国の工場は日本企業と直接輸出契約を締結する事は出来ません。
中国の工場は輸出代金の2-3%のコミッションを払って
輸出入公司に輸出入業務を委託、
契約は日本企業−輸出入公司間の輸出契約と
輸出入公司−中国の工場間の国内契約の2本立てとなります。
製品の輸出が完了し、
日本企業が商品代金を外貨で輸出入公司に支払うと、
その外貨は全額国庫に入り、
その外貨額相当の人民元が銀行から輸出入公司に支払われます。
輸出入公司は自社のコミッションを差し引いた金額を、
人民元で中国の工場に支払います。
この様に、輸出で稼いだ外貨は、
全て輸出入公司経由で国庫に入る仕組みになっており、
中国の工場は輸出代金を外貨で受け取ったり、
外貨で持ったりする事が出来ません。
こうした輸出入公司を利用した
外貨吸い上げシステムのお陰もあって、
中国の外貨準備高は4,000億ドルを超え、
日本に次いで世界第二位の外貨保有国となったのでした。
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