第137回
「シノトランス」
良く分かる業界の会社、という事では、
今年香港で上場したばかりの「シノトランス」に注目しています。
「シノトランス」は中国最大の運輸会社です。
私の会社はクロネコヤマトの海外引越の、
北京・華北地区代理店をしていますが、
自社で引越部隊を持っている訳ではなく、
実際の引越作業や通関は、
この「シノトランス」に委託しています。
「シノトランス」が誇る、中国全土に張り巡らされた輸送網は、
北京から上海などの中国国内の引越の際に
その威力を発揮します。
通常、北京の地場の引越会社が、北京から上海の引越を請け負うと、
2トントラックを1台仕立てて、引越荷物を引き取り、
そのまま約3日間かけて上海まで輸送します。
上海で引越荷物を引き渡すと、
トラックは空で北京まで帰って来なければなりません。
これが「シノトランス」に頼むと、
引越荷物を引き取った2トントラックは、
北京のトラックステーションに行き、
荷物は上海行きの大型トラックに載せ換えられます。
他の荷物との混載で上海まで運ばれた荷物は、
再度、上海のトラックステーションで
2トントラックに載せ換えられ、
お客さんの上海の新居まで届けられます。
「シノトランス」の北京―上海間の貨物輸送量は大量であり、
1日に何便もの大型トラックが
荷物を満載して北京から上海に向けて出発します。
北京、上海それぞれのトラックステーションの間を、
大型トラックで他の荷物との混載で輸送する事により、
北京―上海間の輸送コストは劇的に下がります。
お陰様で、上海に限らず、当社の中国国内引越料金は、
「シノトランス」の輸送網を利用する事により、
圧倒的な競争力を保つ事が出来ています。
この事実を目の当たりにして思ったのは、
こと運送会社に関しては、
全国ネットを持っている会社ほど強いものはない、
という事です。
地場の会社ではまねの出来ない輸送網があれば、
競争力を保つ事が出来ますし、
競争相手が減れば、高い値段を付ける事も可能となります。
世界に名だたるDHL、OCS、TNTなど国際クーリエの会社が、
みんな中国ではこぞって「シノトランス」と
合弁を組んでいる事からも、
「シノトランス」の実力は推し量る事が出来ます。
今後、中国の経済発展に伴って、
中国国内の貨物の輸送量は
どんどん増加していく事が予想されます。
貨物輸送量が増加した時に、最もその恩恵を受けるのは、
中国で唯一、全国ネットの輸送網を持っている
「シノトランス」なのではないかと思います。
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