第138回
柳田、テレビで「理財」を語る

先日、北京電視台の「国際双行線」という番組に出演してきました。
この番組は、毎週、様々な国の人を集めて、
その週のお題に就いて、各国の人達の考え方の違いを話し合う、
というトーク番組です。

私が出演した週のお題は「理財(りーつぁい)」、
日本語で言えば「財テク」です。
出演したのは中国人、アメリカ人、ロシア人、
そして日本人代表の私です。
中国国内の番組ですので、
アメリカ人もロシア人も私も中国語で討論します。

私の論点は、
1) 貯蓄→保険→債権→株式→不動産→起業、
と右に行けばいくほどリスクは高くなっていくが、
得られるリターンも大きくなる、
2) 日本は15年前のバブル経済の時には、
株式、不動産など、比較的リスクの高い投資対象で
「理財」をする人が多かったが、
今は不景気なので、リスクの小さい貯蓄の比率が大きくなっている、
3) 日本の貯蓄の比率が株式よりずっと高くなっているのは、
不景気のせいもあるが、
日本の一般大衆にとって、「理財」は比較的新しい概念なので、
リターンは小さいがより安全な貯蓄の比率が
まだまだ高いのではないか。
実際、アメリカの景気は良いとは言えないが、
彼らの「理財」方法は、株式が貯蓄を大きく上回っている、
というものでした。

一応、出演に当たって下調べをした所、
2003年3月末時点の日本人の個人金融資産は1,378兆円で、
その内訳は下記の様なものでした。
現金・預金    56.2%
保険・年金準備金 29.1%
株式・出資     5.9%
債権        2.9%
投資信託      2.1%
その他       3.8%

バブル絶頂の1989年末時点では、
株式・出資の比率が20.1%もありましたが、
現在、その比率は1/3以下まで落ち込んでいます。
これは株価が下がり続け、
株式が魅力ある投資対象では無くなってしまった事もありますが、
不景気によるリストラや収入減で、
「理財」の方式がより保守的な、
リスクの少ないものに偏っているせいもあるかと思います。

更に、アメリカの景気は良いとは言えませんが、
それでも株式投資の比率は、
貯蓄のそれをはるかに上回っています。
2001年のデータではありますが、
アメリカ人の個人金融資産に占める
株式・出資の比率は34%であるのに対し、
現金・預金のそれは11%に過ぎません。

これは日本人よりアメリカ人の方が、
「理財」の概念が成熟している為であると思われます。


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