第108回
お役人との「関係」

どこの国でも、有能なスタッフを採用出来るかどうかは、
企業にとって業績を左右する非常に重要なポイントです。
特に、日本人が中国で商売をするに当たっては、
中国側の面倒な事を全て取り仕切ってくれる、
有能な右腕がいるのといないのとでは、
業績に雲泥の差が出てきます。

例えば、お役所の対応など、
いくら中国語のうまい日本人でも、出来るものではありません。
中国のお役所は大きな権限を持っており、非常に偉そうです。
近年、中国でも法律が急速に整備されつつありますが、
白いものもお役人に睨まれれば黒くなってしまうのがこの国です。

日本は「役人は税金で飯を食う、パブリックサーバントである」
という考え方が浸透してきており、
役所のサービスも年々良くなっている様ですが、
中国ではお役人に罵詈雑言を浴びせられる、
などという事は日常茶飯事です。
それでも「お役人には絶対に逆らうな」が鉄則です。
お役人に逆らっても、悪い事は起こりこそすれ、
良い事は絶対に起こりません。

逆に有能なスタッフは、日本では有り得ないと思うのですが、
お役人と友達の様な関係になってしまい、
ある程度の黒いものは「白い!」と言わせてしまったりします。
いくら中国の事情に詳しい日本人でも、
この辺のさじ加減は中国人にはかないません。

社内だけでは無く、
社外にもお役所に顔が聞く人達を揃えておくと、
「いざ!」と言う時に便利です。
税務局のOBがやっている会計事務所、
裁判官と仲の良い弁護士、
公安局に勤めている友達、などなど。
「いざ!」という時は来ないに越した事は無いのですが、
「いざ!」という時に頼れる人がいる、というだけで、
安心して本来の業務に集中する事が出来ます。

良く「中国ビジネスは人脈が無いと出来ない」という様な事を、
したり顔で言う人がいますが、
私個人的にはそうは思っていません。
むしろ、人脈で出来た商売は
人事異動などで頼りにしている人がいなくなると、
すぐに無くなってしまいますので、
やはり、本当に付加価値のある商品で
実力勝負をした方が良いと思っています。

但し、上記の様な「いざ!」という時に頼れる、
お役人との「関係(ぐぁんし)」を持っている人脈は、
安心して本業に専念する為の保険、という意味で、
あるに越した事は無い、と思います。


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