第107回
わがまま北京人

彼女が手に入れるキックバックやチップは、
月に20,000元(300,000円)以上に上りますが、
これらの収入は税務署に黙っていれば、課税されません。
課税されるのは、会社からもらっている給料、
2,000元(30,000円)分だけです。

これだけの収入がまるまる手に入れば、
中国ではかなり優雅な暮らしが出来ますが、
彼女は以前からの生活を変えるつもりはありません。
ツアーガイドで稼いだお金を貯金して、
それを元手に自分の旅行会社を立ち上げたいそうです。
さすが中国女性。いや、逞しい。

しかし、最近はSARSの影響で、
旅行会社は壊滅的な状況になっています。
ツアーガイドも軒並み失業している様で、
私の会社にも「ツアーガイドをやってました」
という人が面接に来ました。
一度良い生活をしてしまうと、
そのレベルを下げるのは容易な事では無い様で、
その人も法外な給料を要求して来ましたので、
即座にお断り致しました。

採用活動をしていると、ツアーガイドに限らず、
北京出身者は恵まれた環境の中で、
甘やかされて育ったせいか、
実力以上の給料を要求する人が多い様な気がします。
一方で、地方から北京に出てきている人は、
何かと北京人より不利な扱いをされ、
苦労している人が多いせいか、
根性のある人が多い様な気がします。

私の会社で以前雇っていた2人の女性は、
2人とも北京出身でした。
当然1人っ子で、
両親と4人のおじいちゃん、おばあちゃんの計6人から、
「この子は賢いねぇ」と言われて育ってきたせいか、
どうという事は無い簡単な仕事でも、
誉めてやらないと動いてくれません。

仕事のミスを指摘すると、
自分のせいでは無い事を延々と説明し、
ひどい時には
「お客さんが間違っている。私は何も悪くない」
とわめいたりします。
そんな事言ってたら、商売にならないでしょうが。

という事で、その2人には辞めてもらいました。
北京出身者が全てわがままか、
というとそういう訳では無いと思うのですが、
その後我が社では、北京出身者の採用を敬遠する傾向が続き、
今では、広西自治区、河北省、吉林省など、
地方出身者の集まりになっています。


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