第82回
「SARSちゃん」
SARSの蔓延が深刻化する中、
北京では多くの日系企業の駐在員が、
感染を予防する為、家族を日本に帰しています。
私も先日、妻と3人の娘を日本に帰しました。
日本に一時帰国した多くの子供達は、
帰国先の地元の学校に転校、
又は体験入学という形で通学する様です。
うちは上の2人が小学校4年生と2年生なのですが、
敢えて学校には通わせず、家で妻が勉強を教える事にしました。
というのは、
北京より先にSARSが流行した香港の駐在員の子供達が、
日本に一時帰国して学校に行ったら、いじめられた、
という話を聞いたからです。
「SARSちゃん」などと呼ばれ、ばい菌扱いをされるそうです。
親達までもが「あの子は香港から来たから、
あんまり近寄っちゃだめよ」と子供に言うそうです。
日本のマスメディアが、
SARSの状況を過剰報道している影響もあるかもしれません。
こうした心無い対応は、
ほんの一部の学校での出来事かもしれませんが、
そんないじめに遭って、
彼女達の心に傷が付く可能性が少しでもあるなら、
無理して学校に通わせなくても良い、
というのが私の考え方です。
彼女達に何か落ち度がある訳ではありません。
ただ、SARS感染者が多い北京から来た、
というだけでいじめられるならば、それは余りに理不尽です。
だいたいが北京には1,300万人の人が住んでいます。
発症者が増えて1,300人になったとしても
10,000人に1人の確率です。0.01%です。
それを北京から帰って来る人は全員危ない、
と考えるのは如何なものでしょうか。
現に、今の所日本人の感染者はまだ出ていません。
日本人はこの辺は非常に慎重です。
衛生に気を付け、不必要に外に出歩かず、
細心の注意を払った上で、
SARSへの感染を避ける為に日本に帰国したのに、
「SARSちゃん」などと呼ばれてはたまりません。
これは子供のみならず、大人も同様です。
取り敢えず
このコラムを読んで頂いている方々だけでも結構ですので、
周りに中国から帰ってきた人がいたら、
むやみにいじめたり、差別をしたりせず、
やさしくして頂きたく、みなさんに切にお願い致します。
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