第81回
SARS予防薬
SARSが流行している中で、漢方薬の売上が伸びている様です。
香港で上場している
中国最大手の漢方薬メーカー「北京同仁堂科技発展有限公司」は、
同社の漢方薬「板藍根(ばんらんげん)」の
2003年第一四半期の売上高が、
前年同期の1,300万香港ドル(2.1億円)から
3,000万香港ドル(4.8億円)と2.3倍になった事を発表しました。
この「板藍根」は、SARSの特効薬、という事ではないのですが、
体力、免疫力を高める、という事で売れている様です。
又、抵抗力を付ける、という意味で、
ビタミンCも売上を伸ばしている様です。
香港で上場している
世界最大のビタミンCメーカー「中国医薬企業投資有限公司」は、
既に今年1年分のビタミンCの受注を確保した事を発表しました。
同社は2億香港ドル(32億円)を投じて、
生産能力を現在の1.5万トン/年から
2.5万トン/年に引き上げる、との事です。
一方で、このSARS騒ぎに便乗した悪徳商法も横行している様です。
青海省西寧市では、政府が指定する価格を
はるかに上回る価格で漢方薬を売りつけた、として、
薬局が罰金を課されています。
山西省太原市では、消毒薬を定価の数倍で販売した薬局が
営業停止処分を受けています。
又、海南省海口市では、「SARS予防茶」などというお茶を
売っている薬局があったそうです。
「SARSを予防する漢方薬のレシピ」は
私の所にも回って来ましたが、
上海ではこれに使われている薬草など数十種類の漢方薬の材料が、
いずれも通常の10倍近くの値段で売られているそうです。
又、陝西省の中学校では、
たくさんの生徒がSARS予防の為の薬を飲み過ぎて
中毒症状を起こす、という事件も起きました。
同校では、校医の処方に従って漢方薬を買ってきて、
全校の生徒と教師に飲ませましたが、
どうも飲ませた量が多すぎた様で、
100人以上の生徒が
目まい、嘔吐、脱力などの症状を訴えたそうです。
現状、SARSの治療薬どころか、
本当に有効と思われる予防薬も開発されていません。
どなたかに「これぞ決定版」という様な、
治療薬や予防薬を開発して頂き、
早く、こうした混乱が収束する事を望みます。
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