第80回
「北京封鎖」の噂でパニック状態に
SARSの北京での発症者数が
従来の発表の8倍以上だった事が発覚した後、
市民の間に「北京が封鎖される」という噂が流れました。
北京の発症者が中国の他の地域に行く事により、
感染地域が全国に広がってしまう可能性がある。
こうした事態を恐れる中国政府が、空港、幹線道路など、
北京市とその他の地域をつなぐ全ての交通手段を
遮断するのではないか、という話です。
この噂を聞いて、一部の市民はパニック状態に陥りました。
今週の写真でもご紹介している様に、
地方出身者は「空港が封鎖される前に帰らなくては」と
先を争って北京脱出を図りましたので、空港は連日大混雑です。
中国政府としても、SARS発症者を地方に帰して
感染地域を広げる訳にはいきませんので、
空港のチェックインカウンターへの入口に体温感知機を設置し、
発熱している人を飛行機に乗せない対策を採っています。
この体温感知機は
国内線のチェックインカウンターへの入口に2台しか置いておらず、
測定に1人数秒掛かりますので、入口には長蛇の列が出来ています。
先々週、当社のスタッフが地方に出張した際も、
この長蛇の列に引っ掛かり、
定刻の1時間以上前に空港に着いていたにも関わらず、
乗り遅れてしまいました。
体温検査はチェックインの前ですので、
飛行機は待ってはくれません。
「買いだめ」も起こっています。
北京が封鎖されてしまうと、
地方からの物資の供給も止まってしまう、
と考えた人達がスーパーや自由市場に大挙して押し寄せ、
米、肉、野菜などを大量に買った為、
売り切れが続出しました。
この為、1日で500グラム1.5元(22.5円)だったトマトが
3元(45円)に、
500グラム2元(30円)だった卵が
3.5元(52.5円)に急騰する、
などという事も起きました。
又、長期戦に備える為か、
インスタントラーメンやビスケットの売上も上がっているそうです。
感染を恐れて外食を控える人が増えている事も、
買いだめに拍車を掛けている様です。
このパニック状態に対して、北京市政府は
「北京が封鎖されるなどというのは根も葉もない噂だし、
物資は在庫がたくさんあるので安心して欲しい」
と呼びかけていますが、
発症者隠しの前科がある為、もう誰も信じていません。
自分の身は自分で守るしかありません。
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