第76回
人民元は日本ではただの紙切れ
さて、人民元の切り上げや変動相場制への移行が当分無いとすれば、
余剰資金で塩漬けになっても良い、というお金以外は、
ちゃんと外貨に換わる方法で回収しなければなりません。
大企業が中国に進出するなら、
ちゃんと合弁会社か独資の会社を設立して、
利益は外貨にして日本に送金すれば良いのですが、
個人で中国で何か事業を起こしたい、と考えた場合、
どうしても知り合いの中国人の名義を借りて、
内資企業として会社を設立する事になります。
合弁会社や独資の会社を設立するには、
最も簡単なコンサルティング会社でも
15万米ドル(1,800万円)の最低資本金が必要になりますが、
こんな金額を簡単にポンと出せる個人は少ないからです。
内資企業の場合、最低資本金の額は10万元(150万円)からと、
合弁会社や独資の会社に比べると格段に設立し易くなるのですが、
内資企業は飽くまで中国国内の企業ですので、
人民元で出た利益を外貨に換える事は出来ません。
一生、中国に骨を埋める覚悟が出来ているのなら良いのですが、
日本に帰ったり、他の国に行ったりする計画があるならば、
ある程度の外貨を使わないで残しておいたり、
外貨収入が見込める仕事をする必要があります。
ビジネスのアイデアが当たって大儲けして、
日本に凱旋帰国しようと思っても、
成田までの航空券は人民元で買えるのですが、
リムジンバスのお金が払えず、
成田から歩いて帰るはめになるかもしれません。
人民元は日本ではただの紙切れなのです。
貯まってしまった人民元は、
そのままでは外貨に換えられませんが、
物に変えてから外貨にする事は出来ます。
貯まった人民元で中国国内で何か買い、
輸出入公司を通じて自分で設立した日本の会社に輸出します。
輸出する際にまともな価格で輸出してしまうと、
輸出入公司が輸出代金を人民元に戻してしまいますので、
全く意味がありません。
輸出価格は低く抑え、日本の会社にたくさん利益が出る様にします。
こうすれば、貯まってしまった人民元を
合法的に円貨に換える事が出来ます。
「直接換えると違法だか、一旦物に変えれば合法になる」
という所が、パチンコの景品交換所を彷彿とさせますが、
こんな面倒な事をするぐらいなら、
最初から借金でも何でもして、
合弁会社や独資の会社を作った方が良いかもしれません。
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