第62回
何を武器として戦っていけば良いか

40年前に既に高度経済成長を経験済みの我々日本人が、
現在、正に高度経済成長を続ける中国の状況を見れば、
次に何が来るかは容易に想像する事が出来ます。
こうした観点で「日中タイムマシン経営」をすれば、
ある程度の先行者利益を得る事が出来ると思います。

しかし、この国では
「日本のこういうやり方を導入して儲かっている会社がある」
と聞けば、みんなその真似をして、すぐに値段の叩き合いとなり、
利益の出ないつまらない商売になってしまいます。
やはり、長期間にわたってちゃんと儲かる商売をするならば、
難しい事ではありますが、
「中国人には真似の出来ない又は真似がし難い技術やノウハウ」
を持ち込む必要があります。

これからは中国で成長が期待される各業界に就いて
具体的なお話しをして行きます。
「日中タイムマシン経営」の観点から見れば、
たくさんのビジネスアイデアが出てくるかと思いますが、
「その業界において、我々日本人は何が出来るのか」、
「そのビジネスアイデアは中国人には真似が出来ない
又は真似がし難い技術やノウハウを組み込む事が出来るのか」
といった観点で篩いにかけ、
そこから我々日本人が中国でビジネスを行う場合、
何を武器として戦っていけば良いか、
をはっきりさせて行きたいと思います。

又、私は約7年間北京に住んで来て感じるのは、
日本も中国に学ばなければいけない事がたくさんある、
という事です。
日本は確かに、中国の約4倍のGDPを誇り、
現在、中国が経験している高度成長も、
既に40年も前に経験済みです。
しかし、我々日本人の生活が
中国人の人達の生活より4倍豊かか、40年分豊かか、
というとそんな事はありません。
むしろ、ある面では、中国人の人達の方が、
日本人よりずっと豊かな暮らしをしています。

経済成長と人々の生活の豊かさは、
必ずしも比例しないのかもしれません。
我々日本人が経済成長をしたお陰で、
逆に失ってしまったものを、今の中国で見つけ、
それを日本に持っていく事によってビジネスに出来ないか、
という、言わば「逆日中タイムマシン経営」の観点からも
中国の各業界を見て行きたいと思います。


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