第60回
「差」がビジネスの種を生み出す

さて、前回までは「中国で起業する! 」と題して、
私の体験を基に中国での起業の仕方をお話しして参りましたが、
今日からは、「中国ビジネスのススメ・実践編」という事で、
中国の様々な「今」から、
実際の中国ビジネスの種を掴み取って頂きたいと思います。

私の目から見れば、今の中国はビジネスチャンスの宝庫です。
私は日本と中国、両方の事情を知っている為、
日本にはあるが中国には無いもの、
逆に、中国にはあるが日本には無いものが良く分かります。
この「差」がビジネスの種になります。

ずっと日本にいる人、又は、ずっと中国にいる人は、
このビジネスの種を見つける事すら出来ません。
邱さんがいつも「興味があったら、自分で行って、
自分の目で見てみる事が大切です」とおっしゃっているのは、
ビジネスの種となる「差」を見出す為には、
一所にじっとしていてはだめだ、
という事なのでは無いかと思います。

先日、当社のお客さんの社長さんが北京に来られた時、
一緒に火鍋を食べに行きました。
北京のレストランではだいたいどこでも、
椅子の背もたれに被せるカバーが用意してあり、
お客さんが背もたれに上着を掛けると、
その上からカバーを被せてくれます。
カバンなどがある場合は、
それも一緒にカバーを被せてくれます。

これは臭いが上着に付かない様に、
という事もあるかと思いますが、主な目的は盗難防止です。
目を離した隙に、
ドロボーに上着の内ポケットに入った財布を抜き取られる、
などという事が起きない様に、カバーをしてしまう訳です。
実際に盗難が起きてしまった時に、
「お前の店の防犯がなってないから財布を盗られた。
お前の店が全額弁償しろ!」などという
言い掛かりを付けられない為の、店側の防衛手段にもなります。

私にとっては、ある程度以上のレベルのレストランで、
カバーを被せてくれる事は、半ば当たり前の事なのですが、
社長にとっては非常に新鮮だったらしく、
「このアイデアは日本には無い。
日本も治安が悪くなってきているので、是非、日本で流行らせたい」
とおっしゃっていました。
物事を常に新鮮な目で見る事によって、
ビジネスの種は見つかるものだ、という事を痛感しました。


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