第40回
商社はアラカルト無し! フルコースのみ!
商社は昔から「冬の時代」などと言われ、
その存在価値の低下が言われてきましたが、
私は商社の海外駐在員事務所は
今でも大きなファンクションがあると考えています。
日本のお客さんに代わって、新規の仕入先・販売先を探す、
現地企業との連絡をする、出張して検品する、
代金を回収する、などなど、お客さんが独自でやろうとすれば、
莫大なコストと労力が掛かる仕事をしています。
特に、商習慣が日本と全く異なり、情報の入手が難しく、
中国語しか話せない人が多い中国は、
まだまだ商社の駐在員事務所が活躍する余地が残されている、
と思います。
しかし、お客さんは商社の駐在員事務所だけを使う訳には行きません。
問題はここにあります。
駐在員事務所の機能だけが欲しくても、
商社を使うと駐在員事務所の費用の他に、
本社の事務所代、本社の営業人員の人件費を始め、
使ってもいない法務部門、審査部門など管理部門の経費まで
負担させられる事になります。
それらの経費を負担出来るだけの利益が見込めない場合は、
「間尺に合わない」と言って、取引を断られます。
ちょっと小腹が空いた人が、
レストランに入ってアラカルトで1品頼もうとした所、
「うちは10万円のフルコースしかありません。
払えないなら出てってください」と言われるようなものです。
これは商社の高コスト体質に問題があります。
私が丸紅東京本社の営業にいた場合、
1年間で約8,000万円の売上総利益(粗利)を
稼がなければなりません。
この8,000万円は、自分の給料の他に、事務所代、
管理部門の費用など会社の全ての費用をカバーした上で、
目標の利益を確保する為には、
営業人員は1人年間幾ら稼がなければならないか、
という観点からはじき出されます。
8、000万円稼がなければならない、となると、
小さな商売は相手にしていられなくなります。
中小企業の方から、年間数十万円儲かる話を持ち掛けられても、
そんな話にかかずらわっていたら、
年間の予算を達成出来ないので、お断りせざるを得ません。
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