11月29日(金)
晴れ、風力3以下
最高気温8℃、最低気温−3℃
寒さがちょっと緩んでます

第13回
交渉道場、秀水街(2)

店主 「あんた、こっちがこんなに譲歩してるんだから、
あんたも少しは譲歩しなさい」
柳田 「じゃ、90」
店主「冗談言うな。じゃ、分かった、
(急に小声で)230。これが最低、最終価格だ」
柳田 「じゃ、いらない(店を出る)」

この辺から店主に笑顔が無くなってきます。
店主が愛想が良いうちは、
まだかなりの利幅があると見て良いです。
急に小声になるのは
「他のお客さんに聞かれたらまずいぐらい安い価格ですよ」
という意味ですが、惑わされない様に。
これも戦術の1つです。

店主 「ちょっと、待て。分かった、分かった。
150でいい。もう利益無しだ」
柳田 「100なら買ってもいいよ」
店主 「…。100でいいよ。もってけ(怒)」
柳田 「(笑顔で)謝謝」

店を出ようとしたら、呼び止められた、
という事は、店主はどうしても売りたいという事です。
店を出て呼び止められなかったら、
縁が無かったと思って諦めましょう。
店主が不機嫌になるぐらいが、適正価格です。
愛想が良いうちは、まだ下がると見て良いでしょう。
店主は100でももちろん利益があります。
赤字で商売する訳がありません。

ここで大切なのは「買う気」と「時間」の問題です。
「買う気」を見透かされると足元を見られます。
又、「時間」が限られている場合は、
のらりくらりと交渉していられません。

なのに、日本企業は本社で「買う」という方針を決めた上で、
駐在員に「今週中に交渉をまとめろ。
なるべく有利な条件を取って来い」などと言って、
中国企業との交渉をさせます。

これでは最初から負けが決まっている様なものです。
条件が合わなかったら何度でも仕切り直し、
それでも最終合意に至らなかった場合、交渉決裂もやむなし、
という気持ちで臨まないと、足元を見られてしまいます。

とかく交渉に弱い、と言われる我々日本人ですが、
中国ビジネスを始めるに当たっては、
この「交渉道場、秀水街」で中国流の交渉力を鍛えてから、
本番に臨んでみては如何でしょうか。


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