11月20日(水)
晴れ、風力3以下
最高気温6℃、最低気温−4℃
空気が非常に乾燥してるので、咽喉が痛いです

第9回
頼むから契約守って

日本と中国では契約の概念が全く違います。
これは日本のみならず、
中国以外と中国と言った方が良いかもしれませんが、
中国では「契約書はその時話し合って
合意した事柄をまとめた備忘録」
ぐらいに捉えている人がまだ多いです。

輸出入公司の人は、「一度契約した内容は何があっても守る」
という概念を持っている人が多いですが、
工場の人は「その内容は「その時の合意事項」なので、
後日状況が変われば、当然、
その変化した状況を考慮に入れて再度話し合い、
新たな合意に至るのが当たり前」と考えている人が多いです。

こんな様な状況ですから、
マーケット価格の変化が激しい商品は、注意が必要です。
丁丁発止の交渉を経て、
やっとの思いで安値の買い付け契約を交わしたのに、
いざ、船積の段になると
「他の会社がもっと高値で買ってくれる、というので、
その会社に売った」と平気で言い放ったりします。

怖いのは全く罪の意識が無い事です。
「利益がたくさん出る方に売るのは当たり前の事でしょ。
あんた今のマーケット価格分かってる? 
そんな安値で出せる訳無いでしょ。
20%値上げなら、次に生産した製品を出してあげてもいいよ。
これが高いって言うなら、他の会社から買ってみなさいよ。
20%値上げじゃ絶対買えないから」
と日本人の我々から見ると、超非常識な主張を繰り返します。
罪の意識が無いどころか、
マーケットが強いのを笠に着て、強気に出たりします。

工場と我々の間に入る輸出入公司は、
「一度契約した内容は何があっても守る」
という世界の常識を知っています。
この輸出入公司が有能な場合、工場を説得したり、
自らが損を被ったりして、最初の契約を守ろうとしますが、
無能な場合は「工場がこんな事言ってます」
と右から左へ話をつなぐだけになります。

中国のWTO加盟により、今後、従来の輸出入公司だけでなく、
工場にも順次輸出入権が与えられていく予定です。
工場と直接取引すれば、輸出入公司に払う口銭は節約できますが、
契約の概念が世界の常識と違う工場が
まだたくさんあると思いますので、
十分な注意が必要かと思います。


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