弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第597回
大手消費者金融武富士が倒産

みなさん、ご存知のとおり、
大手消費者金融の武富士が会社更生手続の申立をし、
倒産しました。

倒産と言うと、みなさん、
営業の停止を思い浮かべると思いますが、
会社更生手続は、会社の再建手続なので、
倒産しても、営業は継続しています。

営業が継続していると言っても、
武富士は、大分前に貸付業務を止めて、
これまで貸し付けたお金の回収しかしていませんでしたから、
お金の貸付は行っていません。

倒産の原因は、過去に取り過ぎた利息の返還請求
(「過払金返還請求権」と言います)
がたくさん来過ぎて、
払いきれないことだと言われています。

会社更生手続では、
武富士の資産や売上から見て、
支払える範囲で、
債権額の何%とカットされてしまう可能性が高いです。

それは、法律上、
そうなっていることなのでどうにもできません。

そこで、みなさんどうするかと言うと、
他の大手消費者金融に、
過払金請求をしているようです。
業界最大手の武富士が過払金の件で倒産してしまったのだから、
他の大手消費者金融も、
武富士と同じ道を歩まないとは限らないからです。

確かに、大手消費者金融の過払金の返還条件は、
年々悪くなっているような気はします。

武富士も、以前は、訴訟をせずに
過払金を返してくれていましたが、
それが訴訟をしないと返してくれなくなり、
和解も、一定期間猶予してからの長期分割や
大幅な減額を求めてくるようになり、
その挙句に倒産ということになりました。

以前ゴルフ場の預託金返還請求でも、
同じようなことが起こり、
実際に早い者勝ちになって、
遅い人は、ゴルフ場が民事再生や会社更生となり
預託金を返してもらえませんでした。

大手消費者金融に対する過払金の返還も
する気があるなら、早くした方がよいので、
みなさんが今取っている行動は、合理的だと思います。

過払金請求が殺到すると、倒産してしまうかもしれませんが、
自分だけが待っていたとしても、
倒産しないという保証はありませんからね。


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2010年10月28日(木)

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