弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第596回
詐欺は捕まりにくい?

僕は、民事事件を主に取扱っており、
その中で、刑事事件となるような事件には、
詐欺、横領、背任、私文書偽造などがあります。

中でも、最近増えているのが、
詐欺ではないかと疑われる事件です。

詐欺の手口については、いろいろなものがあり、
これまでも、いくつか取り上げて来ました。

詐欺が多い理由は、お金が入ってくるということと、
なかなか捕まりにくい
ということが原因なのではないかと考えています。

この不況時、まともに働いていても、
なかなか思うとおり収入が入ってきません。
そこで、手っ取り早くお金になる方法
ということで詐欺をしていると思われることが1つです。

それから、詐欺は
なかなか捕まりにくいのではないかと思われます。

そもそも、詐欺は、お金を出資する、
お金を貸す、取引を装う
という一般的な取引の形でされることが多いです。

警察は、民事不介入ということから、
取引の形式を取っていると、なかなか動いてくれません。

それに詐欺は、単にお金を返してくれないというだけでは、
成立しません。
相手が最初から返す気がなかったということまで、
立証しなければなりません。

これは、相手の財産状況にもよるので、
同じような被害者が複数でもいないと、
なかなか立証することはできません。

詐欺で、告訴したとしても、
お金が返ってくるかどうかはわかりません。

詐欺師は、もらったお金は、次々に使ってしまって、
逮捕されたときには、
お金を持っていないことが多いです。

こう考えると、詐欺で、刑事告訴しても、
費用と労力がかかるばかりで、
お金は戻ってこない可能性が高いです。

そこで、刑事告訴をするのを諦めてしまう人も
多いのではないかと思います。

インターネットの発達により、
刑事告訴をしたくても、
相手の身元がわからないケースも増えているようです。

平成21年の犯罪白書によれば、
警察が詐欺だと認知した事件のうち、
犯人が逮捕されるなどした検挙率は、
何と47%だそうです。
これは警察が詐欺だと認知した事件のうちの数字ですから、
実際に行われている詐欺はもっと多いと推測されます。

ちなみに、殺人は、95.4%で、
強盗は61.1%だそうですから、
詐欺はそれらと比較して相当検挙率が低いです。

警察も振り込め詐欺対策など大々的にやっていますが、
他の詐欺対策も積極的にやってもらいたいものです。


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2010年10月26日(火)

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