弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第385回
賃料滞納を防ぐには

以前、日本の法律では、
借主が賃料滞納をしたからといって、
大家(貸主)が、
借主の使っている部屋の鍵を変えて、締め出してしまう
いわゆるロックアウトをすることは違法だというお話をしました。

では、どうやって、賃料の滞納を防ぐかということです。
ロックアウトが法律(判例)で違法とされている以上、
他の方法で、賃料滞納に対する対策を考えなければなりません。
法律や判例を個人の力で変えることは、相当困難ですから、
それを前提に物事を考えるほかありません。
ロックアウトを違法とする裁判所や法律に文句を言っても、
仕方がないのです。

確実な方法の1つとして、
敷金・保証金といった担保を多く預かるということが考えられます。

しかし、住宅では、敷金は2ヶ月分が限界ですし、
オフィスや店舗の保証金も、
最近では、
10ヶ月分預かるのがようやくというところではないでしょうか。

次に、入居の審査を厳しくするという方法があります。

まず、契約の申し込みがあったときに、
入居する人や会社の収入が確実か、
賃料を継続して支払っていけるかということを
源泉徴収票や税務申告書を提出してもらって
確認するということです。

賃貸を仲介する不動産業者の中には、
契約が成立すれば仲介手数料が入ることから、
「賃料の支払は大丈夫じゃないんですか」などと無責任に言って、
このような資料の提出を拒む借主の肩を持つ場合もあるので、
注意が必要です。

それから、きちんとした保証人をつけてもらうということです。
保証人は、個人であれば、家計を別にする人、
会社であれば、会社の役員や従業員でない人の方がいいです。
よくあるのが、
会社の契約に代表者個人が連帯保証をするケースですが、
会社が破産する場合は、
その会社から給料をもらっている役員や従業員は、
収入がなくなってしまうので、
会社が賃料を払えなくなった場合の保証人としては
役に立たないからです。

保証人になることを専門的にやっている
保証会社を保証人にするというのも1つの方法です。

そして、賃料の滞納を防ぐには、
少しでも滞納したらすぐに対応することです。
滞納額が多くなればなるほど
お金に困っている人には余計払いにくくもなるし、
敷金や保証金で、賄えない金額も多くなってくるからです。

通常、賃料の滞納を防ぐ方法は、このくらいだと思います。





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2008年8月21日(木)

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