第362回
高金利で成り立つ商売はあるか?
お金を貸すときの利率は、
出資法という法律で、上限が決まっています。
利息制限法という法律でも、利率の上限が決められています。
これまで、出資法に違反する金利年29.2%と
利息制限法に違反する金利年20%から15%との間に、差があり、
出資法に違反しなければ
利息制限法に違反しても罰則がなかったことから、
グレーゾーン金利として貸金業者はお金を貸していました。
出資法で定める上限の金利も以前は、
約40%でしたからグレーゾーン金利はかなり大きかったのです。
バブル経済崩壊後、多重債務者問題が脚光を浴び、
最高裁もかなり多重債務者よりの判決を出したことから、
このグレーゾーン金利を廃止する立法がなされ、
今年の10月から出資法の上限金利は20%となり、
グレーゾーン金利が無くなります。
この中で、法律で、上限金利を決めることは、
金利が需要と供給との市場原理で決められる
ということを無視するもので、
資金が必要な事業者や消費者がお金を借りられなくなり、
経済が停滞するという議論があります。
確かに、お金を借りようとする事業者や消費者が、
常に、自己の収支や事業見通しを理性的に判断でき、
合理的な返済計画を作成した上で、
借入を行うのであれば、
上限金利を法律で決める必要はないでしょう。
しかし、残念ながら、実際は、
お金を借りようとする人は、
他の支払いに迫られた状態にあることが多く、
支払に必要な額を取り敢えず借りられればよいという考えで
借金してしまい、
借りた後のことなど
理性的合理的に考えている人はあまりいません。
また、高金利で借入をした場合、
高金利を払い続けても、
個人の場合は生活を、事業者の場合は事業を、
安定して継続できるかというと、
そのようなケースはほとんどないと思います。
高金利を制限しなくてよいと主張している人、
特に政治家の方には、
上限金利を規制したために
借りられなくて困っているという主張だけでなく、
お金を借りられなくて困っている人が、
高金利でお金を借りても、
高金利を支払いながら生活や事業が継続できるということを、
具体例を挙げて説明して欲しいと思います。
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