弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第358回
立退料を払う必要があるか?

みなさん、「立退料」という言葉を聞いたことがあると思います。
しかし、みなさん、正確に立退料がどういうもので、
どういうときに支払うか(逆に、もらえるか)ということは、
よくわからないと思います。

立退料は、貸主が借主に出て行ってもらうときに支払うお金です。
貸主からすれば立退料など払いたくないし、
借主にとっては、立退料がもらえるのであればもらいたいでしょう。

簡単に言うと、立退料が発生するのは、
法律上、借主を追い出すことができる理由がないにもかかわらず、
追い出したいときです。

これまでにも、何度かお話しているとおり、
借地借家法という法律で、土地や建物の借主は守られています。
したがって、定期借家契約や
定期借地契約という契約を結ばない限り、
期限が来たとしても、余程のことがない限り、
追い出すことはできません。

そこで、貸主側から、立退料を支払うので、
出て行って欲しいという話になるわけです。

一般的には、借家では、
貸主が借主に出て行ってもらって
建物の建て直しをしたいときに立退料ということが問題になります。
また、借地では、貸主が借主に出て行ってもらって
更地にして土地を売却したいというときに、
立退料が問題となります。

ただ、貸主が立退料を支払いたくない場合は、
借主が立退料をもらえれば出て行ってもよいと思っていたとしても、
借主から立退料を請求する権利はないので、注意が必要です。
借主は、あくまでも、
借りた建物や土地から出て行く理由はないので
引き続き使用すると主張する権利しかありません。





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2008年5月20日(火)

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