第327回
実印と三文判の違い
みなさんから、
よく聞かれる質問の1つに契約書などに
押してもらう印鑑は、
実印である必要があるかということがあります。
みなさん、ご存知のとおり、
実印とは、その印影を役所に登録してある印鑑です。
三文判は、文房具店などで大量生産されている印鑑のことですが、
一般的には、
実印以外の印鑑のことを言っていると思います。
契約書に押してもらう印鑑は、
実印であっても、
三文判でもどちらでも契約としては有効となります。
そもそも契約は、
口約束でも有効ですから、
サインだけでも有効ですし、
三文判を押してもらっても有効なのです。
それでも、契約書を作成して、
印鑑を押してもらった方がよいのは、
もちろん、後で、相手の気が変わって、
そんな契約はしていないと言われたときに、証拠とするためです。
そして、契約書に、
その人の印鑑が押してあると、
法律上、その人の意思に基づいて
印鑑が押されたと推定されることになっています。
どういうことかというと、
契約書に、僕の持っている「高島」という印鑑が押されていれば、
たとえそれが他人が勝手に契約書に印鑑を押したとしても、
僕がその印鑑は盗まれたことなどを立証しなければ、
僕がその契約内容を認めていたということになってしまうのです。
ここで、実印と三文判の違いですが、
三文判のときは、裁判で、
その印鑑は、自分の印鑑ではないと言われる可能性があります。
これに対し、実印であれば、
その人の印鑑であることを、
印鑑証明で、証明することができます。
そういう意味では、
大切な契約書には、実印を押してもらい、
印鑑証明書をいっしょにもらっておくことが必要です。
印鑑証明書をもらっておかないと、
後で、印鑑登録をやめられてしまったり、
実印を他の印鑑に変えられてしまったりしたときに、
その印鑑がその人の印鑑だと証明できなくなってしまうからです。
|