弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第61回
弁護士は『先生』か?

『先生』と呼ばれる職業に、
教師、医師、国会議員などがあります。
邱さんのような作家も
『先生』と呼ばれていますね。
弁護士も、みなさんご存知のとおり
『先生』と呼ばれています。

「『先生』と呼ばれる職業には、ろくな人がいない。」
「お互いに『先生』と呼び合うなんてどうかしている。」
などと言われています。

僕も、弁護士になりたてのころは、
ちょっとおかしいのではないか?と思い、
呼び方を直してもらおうとしたことがあります。

しかし、これだけ弁護士を
『先生』と呼ぶことが慣習化されると
これを直すのはなかなか大変です。

相談者が相談に来た際に、
僕のことを『先生』と呼んでいるのに、
敢えて「『さん』付けで呼んでください。」
というのも変な話です。

それに、相談者が相談の際に、大切なことは、
僕を『先生』と呼ぶか
『さん』付けで呼ぶかではなく、
相談内容に適切なアドバイスを送ることなので、
相談者が自分を何と呼ぶかは
好きにしてもらえばよいことです。

僕の依頼者で、
僕のことを『先生』でなく
『さん』付けで呼ぶ依頼者もいます。

弁護士同士で、
『先生』と呼ぶのをやめるのも、
年下や後輩の弁護士に対し、
『さん』や『君』で呼ぶのは、
差し障りは生じないと思いますが、
先輩弁護士や年上の弁護士に対し、
『先生』と呼ばないと、相手がこちらに対し、
「何だ。こいつは。」と思う可能性があります。

弁護士は紛争を解決するのが仕事ですから、
事件の相手方の弁護士に、
そんなところで気分を害されて、
紛争を円満に解決できないのも
ばかばかしい話です。

以上のような理由から、
一度定着してしまった弁護士を
『先生』と呼ぶ呼び方は、
僕一人が、何とかしようとしてもどうにもなりません。

でも、中国などでは、
年上の人を『先生』と呼ぶという話も聞きますし、
「先生は、ものを教える人」という意味とすれば、
弁護士も先生でしょうから、
あまり問題もないような気もします。

最近は、『先生』と呼ばれることを直すよりも、
みなさんに『先生』と呼ばれても、
それに恥じないよう法律に関するプロとして、
サービスを提供すればいいのかなと思っています。


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2005年5月19日(木)

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