第22回
相続税対策のはずが・・・
第20回で、相続税対策には、
1.相続財産を減らすか
2.相続債務を増やすか
3.基礎控除を増やすか
の3つの方法があると説明しました。
相続税対策でよく言われることは、
借金があった方がよいということです。
これは、(2)の相続債務を増やす方法です。
しかし、相続税軽減のためとは言え、
安易に借金をするのはリスクが高い行為です。
税理士等専門家と相談して、
経済変動も考慮した上で、
いくつかのシミュレーションをして、
どういう場合にどういうリスクがあるか
よく納得した上で借金をすることとしてください。
なぜ、このようなことを話すかと言いますと、
相続の相談で、相続放棄や破産絡みの相談が多いからです。
借金は、課税対象となる相続財産を
減らす作用はありますが、
あくまでも借金ですから、
返済する必要があります。
その借金を返済する資金がなければ、
相続税は払わずに済んだけれども、
せっかく相続した財産を売却して
借金の返済に当てなければならないという
本末転倒の話になりかねないのです。
現時点で、相続が発生すると、
基礎控除などを控除しても
課税対象となる相続財産の額が
5000万円となってしまう人がいるとします。
この場合、相続税は
5000万円×20%−200万円=800万円
となります。
相続税対策として、1億円の借金をして、
マンションを建てたとします。
マンションを新築した場合、
建物を固定資産税評価で評価し、
借家権割合を控除したりすると、
評価が50%くらいになると言われています。
(実際にマンションがどれくらいの評価になるかは、
税理士等に相談してください)
相続税上は、5000万円の資産を得るために、
1億円の借金をしたのだから、−5000万円です。
すると、課税対象となる5000万円は−5000万円で
0円ということになります。
このように資産の評価方法と合わせて
借金をすることにより、
課税される相続財産の額を減らすというのが
借金による相続税対策です。
次回に続きます。
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