第19回
相続税がかからない
不動産を購入することが
相続税対策となるかという質問に対する回答の続きです。
相続税対策を考えるには、
基本的な相続税の仕組みについて、
わからなければなりません。
相続税の対象となる相続財産(遺産)の額は、
「相続財産−相続債務−基礎控除」
という式で計算します。
例えば、現金1億円、
借金3000万円を子供2人で相続したとしても、
1億円−3000万円−7000万円=0円
となり、課税される相続財産の額が0円となりますので、
相続税を支払わずに済むこととなります。
1億円を相続するからといって、
前回の計算のように、
2300万円の相続税を支払わなければならない
というわけではないのです。
相続税対策をするときに考えるのは、
まず、今、相続が発生したら、
相続税がかかるのか、かからないのか、
かかるとしたらいくらなのかを
計算してみることが必要です。
相続税がかからないのに、
相続税対策を考えても意味がないからです。
その際、基礎控除について、
知っておく必要があります。
基礎控除は簡単に計算することができますし、
相続財産が基礎控除の範囲内であれば、
相続税を心配する必要はないからです。
基礎控除は、
5000万円+(1000万円×相続人の数)
です。
だから、相続人が子供2人の場合は、基礎控除の額は
5000万円+1000万円×2=7000万円
となり、相続人が妻1人、子供2人の場合は、
基礎控除の額が
5000万円+1000万円×3=8000万円
となります。
相続財産がこの範囲であれば、
細かいことを考えなくても、
相続税はかからないということになります。
この意外に高い
基礎控除のおかげかどうかわかりませんが、
発生した相続のうち、
相続税を納付しなければならない相続は、
5%くらいだそうです。
だから、ほとんどの人が
相続税の心配をする必要がないということのようです。
ただ、この基礎控除は、
バブルのときに相続税が
高額になるのを押さえるために
拡大したままとなっており、
現在、地価が下がり、
税収が少なくなっていることもあって、
国は、基礎控除の引き下げを検討しているようです。
この点は、今後注意が必要です。
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