弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第60回
訴訟に勝つための作戦集14−
わかりやすい主張が勝ちにつながる

みなさんは、
弁護士が裁判所に提出している書面を
読んだことがありますか?
弁護士が裁判所に提出する書面には、
主に、訴状、答弁書、準備書面
というものがあります。

弁護士の書いた文章は、
さぞ難しいことが書いてあると思う人が
多いのではないでしょうか?
でも、実際は、法律用語を除けば、
そんなに難しいことは書いてありません。

裁判では、こちらの主張を
裁判官にわかってもらうために書面を書きます。
その主張も誰にでもわかる理屈であれば、
裁判官も覆して負けさせることはできません。
即ち、勝ちやすいのです。

そこで、弁護士は、
簡潔で、わかりやすい主張を目指すのが普通です。
だから、みなさんが、
弁護士の書いた文章を読むと
これぐらいなら自分でも書けると思うかもしれません。

しかし、わかりやすい主張をするには、
裁判となっている事実関係全体と
法律・判例を理解し、
裁判のポイントを押さえている必要があります。
読んでわかりやすいからと言って、
書くのが簡単だというわけではないのです。

弁護士の中にも、
わかりにくい文章を書く人がいます。
そういうケースでは、
その弁護士がその裁判で勝つためには、
どの点が重要で、どの点が必要ないかを
よく理解していないことも多いです。

ただ、証拠や法律の解釈で
不利な点があったりすると、
難しい理屈を使ったり、
ごまかしたりしなければならないので、
そのために、わかりにくい主張になっている、
即ち、弁護士が作戦上
わざとそうしているケースもあります。
難しい事案や不利な事案では、
すっきりわかりやすくとは行かないのです。

みなさんが依頼した弁護士の主張は
わかりやすいですか?
よくわからない場合は、
相手の弁護士の主張と
比べて見るのも1つの方法です。


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