第61回
訴訟に勝つための作戦集15−
提出書面の文章は長い方がよいか?
裁判では、
当事者同士が主張をし合います。
裁判を口頭でやっていては、時間もかかるし、
後にも残らないので、
書面を提出することで行なわれます。
裁判を依頼するみなさんからすれば、
書面にたくさん主張が書いてあった方が、
安心するし、
弁護士が一生懸命仕事をしていることがわかって
よいかもしれません。
しかし、相手に有無を言わせない証拠があれば、
たくさん証拠を提出する必要もないし、
長々と説明をする必要もありません。
だから、勝つ見込みの高い事案では、
長い書面を提出する必要はないのです。
逆に、有力な証拠がない場合には、
いくつもの証拠について
長々と説明しなければなりませんし、
過去の判例に照らして不利な事案では、
法律や判例の理論について
詳しく書かなければなりません。
即ち、一般的に言って、
勝つのが簡単な事案では
書面は短くて済みますが、
苦しい事案のときに書面は長くなります。
ところが、裁判を何件もやっていると、
相手が苦しいはずなのに、
あまり主張しなかったり、
相手が有利なはずなのに
余計なことまで主張したりするというケースがあります。
前者は、弁護士が手を抜いているか、
事案から判断して負けても仕方が無いので
諦めたということだと思います。
後者の場合は、熱心な弁護士なのか、
弁護士の性格なのかもしれません。
ただ、弁護士費用を時間で請求するケースでは、
書面作成に時間をかければかけるほど、
依頼者に請求する金額が大きくなります。
これが影響していると思われるケースも
無いことはありません。
裁判を弁護士に依頼したら、
基本的にはお任せで、
書面が長いか短いかは
勝敗に直接は関係ありません。
しかし、あまりに自分が思っていることが
主張されていない場合は
どうしてその点が主張されないのか
確認してみたらよいかもしれません。
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