第54回
謝罪広告
有名企業が不祥事を起こしたときに、
新聞紙等にお詫びの広告を掲載することがあります。
これも謝罪広告です。
しかし、これは自分で
自分の不祥事を謝っているだけなので、
当たり前のことです。
新聞や雑誌が名誉毀損を行った場合、
被害者が、新聞や雑誌に対し、
名誉毀損したことを謝罪する広告の掲載を
求めることができます。
これが今日説明しようとする謝罪広告です。
新聞や雑誌で名誉毀損された場合、
その読者は、記事の内容が真実でなくても
真実だと思ってしまいます。
すると、名誉毀損の被害者は、
賠償金をもらっても、
読者が記事が誤りだと気づかなければ
名誉が回復されません。
そこで、名誉毀損の被害者には、
新聞や雑誌に対し、記事が誤っており、
名誉を毀損するものであったことを認め、
謝罪する広告を掲載させる権利が認められているのです。
みなさんは、そのような謝罪広告を見たことがありますか?
あまり見たことがないのではないでしょうか。
なぜかと言うと、通常、謝罪広告は、
目立たないページに小さく載せられているからです。
これまで、名誉毀損については、
表現の自由が優先され、
賠償額も100万円くらいと少なく、
謝罪広告も目立たない場所に小さく掲載されており、
マスコミのやり得となっていたような気がします。
これに対し、最近、
週刊誌のグラビアを除いた最初のページ
という謝罪広告の掲載場所を
週刊誌の中で目立つ場所に指定して、
謝罪広告を認めた判決が出されました。
マスコミは、表現の自由や
編集権の侵害だと主張しています。
有名人について、
面白おかしくセンセーショナルな記事を書いて
儲けようと思われる記事が多いような気がするのは
僕だけでしょうか?
社会正義のためというよりは、
有名人や有名企業について、
面白おかしくセンセーショナルな記事を書いて
儲けようとしているのではないかと
思えるものが多いです。
このようなケースでは、
侵害された名誉の回復のためには、
書かれた記事と同等の大きさの文字を使用し、
同じだけのスペースを取って、
謝罪広告を掲載する必要があると考えます。
しかも、週刊誌などは、
新聞広告や電車の中吊り広告の見出しでも
名誉を毀損しているケースがありますので、
謝罪広告を新聞や中吊りに掲載させても
よいのではないでしょうか。
現時点で、そこまで認める判例はなく、
マスコミは反対するでしょうが、
新聞や週刊誌を相手とする名誉毀損の裁判では
そこまで主張して行く必要があると思います。
|