弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第32回
弁護士を雇わないで裁判ができるか

第20回の弁護士費用がないときで説明しましたが、
裁判は自分でもすることができます。

弁護士費用は出せない、
あるいはもったいない、
弁護士は当てにならないという方は
ご自分でやられたらいいと思います。
親切な裁判官や書記官(裁判所の職員)に当たれば
丁寧に話を聞き、
書面の書き方も教えてくれます。

ただ、裁判は事実の有無と
法律上請求が認められるかという
2つの点で争われます。

事実の有無については
当事者である自分が一番詳しいので
自分で主張できると思いますが、
法律上どの法律のどの条文に該当するという主張は
難しいのではないかと思います。

事実の主張についても、
有利な事実を積極的に出し、
不利な事実はあまり触れないようにした方が
よい場合もあります。

だから、本人でやるとすれば、
契約どおりの請求をする場合や、
逆に約束した覚えがないのに請求してきた場合、
相手の請求を認めるけれど、
分割払いにしてもらったり
支払期限を延ばしてもらったりするケースではないでしょうか。

弁護士でない人(例えば従業員)に
代わりに裁判をやってもらうという方法もあります。
裁判は本人(会社の場合は代表取締役)でやるか、
弁護士に頼むしかないのが原則です。

しかし、従業員に裁判をやらせることができる場合もあります。
それは、簡易裁判所の訴訟です。
簡易裁判所は90万円以下の請求の訴訟を取り扱います。
だから、90万円以下の請求で訴える場合、
90万円以下の請求で訴えられた場合には、
従業員を裁判に生かせることもできるのです。

90万円以下の売掛が多い会社は従業員を教育して
弁護士に依頼せず、
従業員に売掛金回収の訴訟をさせることを
考えてみてはいかがでしょうか。
実際、サラ金やカード会社では、
90万円以下を請求する裁判は従業員にやらせています。


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