弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第22回
負けた方が弁護士費用を払うのか?

訴訟の相談を受けたときに
「裁判で負けたら相手方の弁護士費用も
支払わなければなりませんか?」
あるいは「訴訟で勝ったら、
相手方から弁護士費用を取れますか?」
という質問を受けることが少なくありません。

これらの質問は、
「裁判で負けたら、裁判で勝った相手方の弁護士費用も
負担しなければならない」ということを
どこかで聞いたことから出てくるものと思われます。

結論を言うと、現時点の日本の法律では、
裁判で負けても、相手方の負担した弁護士費用を
支払う必要はありません。

判決をもらったことがある人は、
民事訴訟の判決には
「訴訟費用は、被告(または原告)の負担とする」
と書いてあるのだから、
弁護士費用は敗訴した方が払うのではないかと
思ったことがあるかもしれません。

この判決の記載が、
最初の弁護士費用は負けた方の負担という誤解に
繋がっていると推測されます。

確かに、民事訴訟の判決では、
訴訟費用は負けた方の負担とされます。
しかし、この訴訟費用の内容は、
訴訟を起こすのに必要な印紙代や切手代、
証人を呼んだ場合の証人の日当、
裁判所で鑑定人を選んだ場合の鑑定人の報酬などであって、
弁護士費用は入らないのです。

だから、現時点では、
訴訟で敗訴したとしても、
相手方の弁護士費用を負担する必要はありません。
逆に、訴訟に勝ったとしても、
相手方に自分が負担した弁護士費用を
負担させることもできません。

しかし、例外的に、
訴訟で負けた方が勝った方の弁護士費用を
負担しなければならない場合もあります。
それについては、次回にお話します。


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