弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第21回
保証人として訴えられたとき

第2回で説明したように、
不況により、借金をした人や会社が
借金の返済ができなくなったことから、
保証人が貸主から訴えられるというケースが
増えています。

自分の意思で、借金の保証人になった場合には、
いくら借主が保証人を頼むときに
「迷惑をかけないから」と言っていたとしても、
保証債務を免れることはできません。
分割返済の交渉をするか、
自分も破産等の整理をするかということになります。

保証でよく問題となるのは、
妻が勝手に、あるいは子供が勝手に、
印鑑証明書を持ち出して、
自宅を担保に入れてしまった、
あるいは保証人にされてしまったというケースです。

妻や子供は家族でも、法律上は別人です。
本人が承諾していない限り、
保証契約は無効ですから、
保証人として支払義務はありません。

だから、訴訟で争えば、
自宅につけられた担保は抹消することができるし、
借金を妻や子供に代わって支払う必要もありません。

ただ、夫や父親に無断で、
印鑑証明書や実印(ときには権利証)を持ち出して、
借金をした場合、
妻や子供は、夫や父親が保証人となることを承諾したと、
貸主を騙してお金を借りたことになるので、
詐欺罪や私文書偽造罪に問われる可能性があります。
そういうことを考慮して、
訴訟で争うかどうか決める必要があります。


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