第200回
貸し倒れで損をしないためには
粗利を多くするのも1つの方法です。
「物を売る」際に、
代金を回収することを考えて売るという話をしています。
代金が回収できなかった場合を貸し倒れと言います。
貸すのでなく売っているのですが、
会計上は貸し倒れと言います。
掛売りで物を売る場合に、普通の人は、
代金の100%を回収できるという前提で、
支払いや儲けを計算していると思います。
しかし、それでは、1件でも貸し倒れが生じてしまうと、
支払いなどの予定が全く狂ってしまいます。
そこで、一定率の貸し倒れを見込んで、
掛売りするわけです。
即ち、代金の支払いについて不安があるところについては、
粗利(代金から仕入れ値を引いたもの)を多くし、
代金支払について信用のあるところや
担保、保証金をつけてくれたところは、
粗利を少なくするのです。
要するに、回収見込みが高い相手に対しては代金を安くし、
回収見込みが低いところは代金を高くするということです。
掛売りよりも現金取引の場合に
値段を安くするということは
よくなされていることだと思います。
掛売りの中でも相手によって代金を変えることによって、
長期的にはどこかに貸し倒れが生じても、
全体的には損をしないという仕組みにするわけです。
これと同じ仕組みで貸し倒れが生じても
利益を上げているのが消費者金融です。
消費者金融は無担保でお金を貸しますが、
利息は大体25%くらいで、
担保を取る銀行の融資に比べると利息はかなり高いです。
消費者金融から借り入れをして
返せなくなる人も多いのですが、
利息を高く設定することにより、
一部に貸し倒れが生じても全体では利益を上げています。
物が売れない時代ですから、
自分の都合だけで価格を決めることはできませんが、
他方で、取引相手がいつ倒産しても
おかしくない時代でもあります。
価格を決める際に、
回収リスクに見合った粗利をもらう
という視点を持つことは重要です。
■今週の宿題 ■
売買代金で、2500万円か
2000万円かで争いがある場合、
買主は裁判で決着するまで、
代金2500万円を供託しておくことができる。
○でしょうか? ×でしょうか?
お答えをお待ちしております。
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