第195回
契約は力関係です。
「物を売る」場合、
掛売りはお金を貸すのと同じことなのに、
実際の売買では、あまり保証人をつけたり、
担保を入れてもらったりしません。
なぜでしょうか?
1つは、「物を売る」人が
意識しなかったからだと思います。
それは、これまで日本経済が
右肩上がりで成長してきたために、
こちらが物を売れば、
売った先も物を売ることができたので、
売り先から代金は支払われ、
代金が不払いになることが少なかったからです。
代金の回収リスクが少なかったわけです。
しかし、今は、物が売れない時代です。
しかも、デフレの影響で借り入れが
会社の返済能力を上回っている会社も少なくありません。
代金回収リスクは、
以前と比較するとかなり高くなっています。
それから、「物を売る」際、
担保や保証をつけてもらわないもう1つは、
契約は力関係で、一般的に買う方がお客さんであり、
立場が強いからです。
「お金を借りる」場合や「事務所や店舗を借りる」場合に、
金融機関や貸し主は
「担保や保証人をつけなければお金を貸さない。」
あるいは「敷金保証金を入れなければ、店舗を貸さない。」
と言えるくらい力が強かったわけです。
みなさんが、「物を売る(サービスを提供する)」場合、
担保や保証人をつけてもらうかどうかは、
その取引において、どちらの立場が強いのかを
考えるということになります。
みなさんの立場が強い場合には、
「うちと取引をする場合には担保や保証金を入れてもらいます。」
とか「保証人をつけてもらいます」と言えるわけです。
■今週の宿題 ■
相手が供託金を積んだ場合に一定期間受け取らないと
供託金を受け取ることができなくなる。
○でしょうか? ×でしょうか?
お答えをお待ちしております。
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