第104回
一度賃貸借契約の保証人になると、
新たに契約しなくても更新後も保証人になってしまいます。

先週の宿題は
事務所の賃貸借契約を締結して、
そのときに保証人をつけました。
2年経過して、契約の更新の際、不動産屋さんは、
保証人については更新手続きをしませんでした。
このケースで保証人は更新後の借主の賃料不払いについて
責任を負わなくて良い。

○でしょうか? ×でしょうか?
でした。

これは、実際上裁判でも争われたケースなので、
なかなか難しい問題だったと思います。
普通に考えても、法律上の原則から考えても、
契約しない限り責任を負わないはずです。
だから賃貸借契約を締結後2年経過して
賃貸借契約の期間が満了すれば、
保証契約も終了するから、
保証人も更新しない限り責任は負わないように思えます。
でも、最高裁は、賃貸借契約の保証人は、原則として、
更新後の賃貸借契約についても責任を負うとしています。
だから、答えは×です。

どうして最高裁がそんな結論を取ったか理由を説明します。
次回以降の講義で説明しますが、
建物賃貸借契約には、
最近できた定期借家契約と
普通の借家契約(建物賃貸借契約)の2種類あります。
普通の建物賃貸借契約にも
定期借家契約にも期間は定めてあります。
でも、借地借家法という借主を保護するための法律によって、
普通の建物賃貸借契約では、
期間満了時点で貸主側に正当な理由がない限り、
契約は終了しないのです。

この貸主側の正当な理由は裁判ではなかなか認められません。
だから、建物賃貸借契約は、半永久的に続いていくわけです。
そこで、最高裁は、
建物賃貸借契約が半永久的に続いていくのだから、
保証人の責任も半永久的に続いていくと判断したのです。

自分の会社が事務所や
店舗を借りるときの保証人になった場合はいいですけど、
他人の賃貸借契約の保証人になる場合は気をつけてください。
なかなか辞められませんよ。

貸主がOKするかどうかわかりませんが、
保証するときに期間満了後は更新しない限り
保証人の責任を負わないという文言を入れてもらえば、
責任が半永久的に継続するということはなくなります。


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2003年2月3日(月)

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