第105回
建物賃貸借契約は2種類あります。
前回説明したとおり、建物賃貸借契約には、
最近できた定期借家契約と
普通の借家契約(建物賃貸借契約)の2種類あります。
今日は2つがどう違うかについて説明します。
前回ちょっと説明したとおり、
この2つの契約は契約の期間が来たときに、
終了するかどうかが違うのです。
賢いみなさんは、
「えっ、契約って契約期間が来たら
終了するのが当然なんじゃないの?」
と思われるかもしれません。
ところが、以前は、
貸し手と借り手の需給バランスが欠けていたため、
貸主に賃貸借契約の期間が満了したら出て行けと言われたら、
借主は移転先を見つけることもできなくて
生活に困ってしまうという状況があったのです。
このことは住宅だけでなく、事務所や店舗でも同じです。
せっかくそこでお客が付いてきたときに明渡せと言われてしまうと、
新しい場所で最初からやり直しということにもなりかねません。
そこで、これまでは、
借地借家法という借主を保護するための法律によって、
建物賃貸借契約では、
期間満了時点で貸主側に正当な理由がない限り、
契約は自動的に更新され終了しないとされてきたのです。
平成13年3月1日までは、
定期借家契約はなく、建物賃貸借契約は全て、
期間が満了しても余程のことがない限り
自動的に更新されていく契約だったのです。
しかし、それでは貸主にとっては一度貸すと
なかなか自分の自由にならなくなってしまうので、
かえって貸し手の数が増えないという状況を招いていると
言われていました。
そこで、貸主に一度貸しても一定期間を経過すれば
取り戻すことができる定期借家契約の制度を作ったのです。
だから、現在は建物賃貸借契約には、
期間が満了したら必ず出て行かなければならない定期借家契約と
これまで通り期間が満了しても
自動的に更新していく借家契約(建物賃貸借家約)の
2種類の契約があるのです。
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