第103回
弁護士は報酬の取り過ぎは懲戒となります。

弁護士は、現在、報酬について、
事件処理する際にいくら報酬を請求してよいか
基準が決められています。
この基準は、弁護士会報酬規程と呼ばれています。
どういう場合にいくらかについては、
私のホームページの弁護士費用のページを参照してください。

報酬の基準を定めることは、
弁護士法という法律に書いてあります。
現在は、この報酬規程に違反して高く報酬を取りすぎたときには、
弁護士会により懲戒がなされています。
弁護士会報酬規程では、
30%まで増減できることになっていますので、
報酬の取りすぎとして懲戒にかけられるのは、
30%の増額よりももっと多い金額を報酬としてもらった場合
ということになります。

弁護士の懲戒は、
今は、借金の整理屋に名前を貸す、
依頼者のお金に手をつけるなどが多いのですが、
報酬の取り過ぎもたまにあります。
弁護士の懲戒事例については、
日本弁護士連合会で出版している
「自由と正義」という雑誌に掲載されています。
興味のある方は見てみてください。

逆に、弁護士の報酬が報酬規程よりも安すぎるので
懲戒されたケースはありません。
もちろん、請求された額が高い場合は
弁護士会に文句を言う人がいるけれど、
安ければ文句を言う人がいないからでしょう。
だから、これまで弁護士に頼んで、
これは弁護士費用を取られすぎだろうと心当たりのある方は、
弁護士会に相談してみるといいと思います。

ところが、この弁護士報酬規程は、
業界のカルテル(価格協定)で、
弁護士費用が高止まりになって入る原因だと言われています。
そこで、現在議論されている司法改革で
弁護士報酬規程は廃止する方向で検討されています。

弁護士報酬の自由化は、ほぼ確定のようですから、
これからは、弁護士報酬は
弁護士との話し合いで決めることになります。
これまでであれば高すぎると弁護士が懲戒を受け、
依頼者に報酬の一部を返還していたケースも
自由化された後は救済されなくなります。
これは、みなさんにとって良いことなのでしょうか?
悪いことなのでしょうか?

ただ、自由化、自己責任は世の中の流れです。
信頼できる、報酬についてでも
何でも話せる弁護士を見つけておくことが必要かもしれません。


■今週の宿題■
事務所の賃貸借契約を締結して、
そのときに保証人をつけました。
2年経過して、契約の更新の際、不動産屋さんは、
保証人については更新手続きをしませんでした。
このケースで保証人は更新後の借主の賃料不払いについて
責任を負わなくて良い。

でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年1月31日(金)

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