第12回
契約書には、まず、「標題」と「前文」が書かれています。
お金を借りる契約のことが、
金銭消費貸借契約と言うことは、第9回で説明しました。
お金を借りる場合に交わす契約書は、
金銭消費貸借契約についての契約書なので、
金銭消費貸借契約書と言います。
その契約書には、何が書かれているでしょうか?
まず、標題が書かれてますね。「金銭消費貸借契約書」と。
次に、誰と誰がどういう内容の契約をするという
「前文」が書かれています。
前文は「邱永漢(以下「甲」とする)は、
高島秀行(以下「乙」とする)に、
以下の内容で金銭を貸し付ける」などと書かれます。
契約書で、甲とか乙とかで、契約当事者を表示しますが、
それは、法律で決まっているわけではありません。
単に、契約書にいちいち当事者の名前を書くのが面倒なので、
「甲」や「乙」を使うだけです。
「A」や「B」、「X」や「Y」その他の記号でも構わないのですが、
日本の慣習上、「甲」と「乙」がわかりやすいので、
「甲」「乙」が使われています。
契約を交わす際に、よく、こっちがお金を貸すのだから「甲」だろうとか、
「甲」「乙」にこだわる方もいますが、
法律上は、どちらが「甲」かは意味がありません。
あくまでも、どういう内容が書かれているかが大切です。
「甲」は相手方に譲って、内容は、こちらに有利にしてもらいましょう。
標題と前文は、法律上、まったく意味がないわけではありませんが、
ほとんど意味がありませんので必ずしも書く必要はありません。
でも、あった方がどういう契約を交わしたのかわかりやすいし、
格好もよいので、取引先、お客さんと契約を交わす際には、
これを書いた方がいいですね。
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