第116回
感動の開店 その時松井さんは その1
8日前 ダメ工事発生 工事代金の6分の1は工事終了時に支払う

鬼専務との家賃交渉が終って
あっと云う間に4日が過ぎました。
開店まで8日前になり、
今日は内装工事の引渡しの日です。
ここでダメ工事の箇所が多いと、
明日からの商品搬入やスタッフのトレーニング計画に
狂いが生じてしまいます。

四本さんと内装工事会社の
2人3脚で進めた今回の仕事は
内装工事会社の現場監督に
黒田さんと云う有能な人材がいたお陰で
スムーズな仕事が出来ていました。
しかし、最後の厨房機器の搬入、
裾付けの工事でミスが出ました。
厨房内のコンセントの位置が高すぎたのです。

コンセントが配置された場所は正しかったのですが、
コンセントを備えつける位置が
指定の場所より高い位置に備えつけられた為に、
客席側から厨房を覗くと、
コーヒーマシンの後からコードが見えてしまうのです。

コンセントの位置を低くずらすには、
厨房内に張ったタイルをもう一度はがさなければなりません。
四本さんは工事のミスの原因は
図面通りの工事をしなかった
電気工事の担当者の責任だと判断しました。
しかし本当の原因は
タイルを張る前にそのミスに気づかなかった
四本さん自身にあると反省し、
松井さんに謝りました。
松井さんの判断はこうでした。

「たしかに今回のミスの責任は
四本さんの現場管理と
現場監督の黒田さんにある。
しかしコードに上手にステンレスのカバーをかければ
コードは隠れてみっともなくない。
ミスの原因が判ればそれをどうリカバーするかが仕事だ。」

この松井さんの判断に関係者は感激しました。
そして翌日の夜、
コードにステンレスのカバーがかけられて
この問題を解決することができたのです。

結局、四本さんが発見したダメ工事は
それ以外に12箇所ありました。(概して小さいものです)
このダメ工事を全て解決して
工事代金の残り6分の1を支払う覚書を
相方が確認してようやく店舗の工事が完了しました。


『ミスは仕事に発生する
大切なのはその原因の速やかな発見と、
速やかな対策の立案と実行である
最も大切なのはだれが最終責任者かを明確にする事だ』


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