第80回
商品コンセプトはこう創る その10
90日前 TEEJな世界
コーヒーに関しては芝さん、岩崎さんの協力で
ポテンシャルの強い商品が見えて来ました。
松井さんは毎日こうした店の開発の動きを
最愛の奥さんに報告していました。
その日もコーヒーの話を夢中になって話していた時、
奥さんからホームページの資料を渡されました。
それは紅茶の販売をしている会社と店の情報でした。
松井さんコーヒーの事に没頭して
紅茶まで気が廻っていませんでした。
奥さんが調べた会社の名前は
「TEEJ」(ティージュ)と云って
インドの紅茶を得意としている会社でした。
実は奥さんがこの会社を知ったのは
ホームページがきっかけだったのではありません。
OLの時から紅茶が大好きだった奥さんは
かなりの紅茶通で、
ひそかに紅茶教室にもかよった事がありました。
その紅茶教室が田園調布にあるTEEJだったのです。
社長さんは森さん、元ホンダに勤め
あの有名なカーグラフィックの
長期テスト車の担当をした事があり、
ホンダをやめた後、
インドの紅茶の輸入を始めたおしゃれな人です。
森さんの奥さんは日本紅茶協会が主催する
ティーインストラクターの第一期生です。
(1年間の研修が必要なこのインストラクターの資格は
今、女性の憧れです)
森さんがただの紅茶好きの人でない証拠は
何とインドのダージリンのファーストフラッシュ
(シーズン始めの茶葉)を
一番高い価格で何年も落札し続けており、
ダージリンでは有名な人だと云う事です。
キャッスルトン農園の一番茶91年ものは
今でも語りつがれる名品と云われます。
森さんの会社で飲んだダージリン、
まろやかな味と香りのアッサムティ。
この紅茶なら他の店に負けないと
奥さんから云われた松井さんは
大きくうなづきました。
『金は扱いをあやまると銅になる
銅は決して金にならない
商品は錬金術ではない』
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