第79回
商品コンセプトはこう創る その9
92日前 エスプレッソの世界

主力商品のブレンドコーヒー、
アイスコーヒーの魅力づくりは
素晴らしいものが創れる確信を得た松井さんは
あと三つの商品のコンセプトを考えなければなりません。

その一つはアレンジコーヒーのベースを
何に求めるかと云う事でした。
それにはやはりエスプレッソコーヒーを
良く知らなければなりません。
この為に松井さんと斎藤さんは
代表的なエスプレッソメーカーの
販売会社のショールームを3日間かけて6社廻りました。

この間に松井さんは多くの事を学びました。
その一つはエスプレッソコーヒーを作るマシンには
半自動タイプと全自動タイプがある事でした。

半自動タイプはコーヒー豆を挽く機器(ミル)から
その都度ホルダーと云うカップに詰めてセットし、
ポンプの圧力でコーヒーの抽出をする方法です。
機能はシンプルですが、
イタリアのBAR(バール=カフェ)では
圧倒的に使われて1日3000杯も売る店もあります。

全自動タイプはコーヒー豆を定量で挽いて
コーヒーをポンプの圧力で抽出し、
抽出后のカスも自動的に捨ててくれる
優れた機能を持っています。
スイスの4万店の飲食業の90%が
このタイプのマシンを採用しています。

コーヒー豆の量、湯量、
泡立てたミルクとの同時抽出も可能の為、
何とスターバックスもこのスイス製の
全自動エスプレッソマシンを採用しました。
(ただスターバックスは
ミルクを泡立てる機能は自動化せず
手動で泡立てています)

この二つの機種のコーヒーを飲み比べた結果、
松井さんは、ローテクと云える
半自動のエスプレッソマシンの方を選択することになりました。
それはバリスタ(コーヒーを抽出する職種)を養成するには
この半自動のマシンが欠かせないと思ったからです。


『まず型をつくれ、その型を完璧にマスターする。
次に型をはずせ、人材の育成の定石である』


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