第98回 映画ファンは、だいたいクロサワ派とオズ派に分かれると思う。ふたりの映画は、かたや動的であり、他方は静的である。こちらは構造的だが、あちらは情緒的と、好対照をなしている。かくいうぼくは、だんぜんクロサワ派だ。 ようやく、黒沢明監督のほとんど全作品がDVDになったが、残念なことに全集みたいな豪華パッケージで、まあよっぽどのマニアか、図書館みたいなところでないとなかなか買えない値段だ。黒沢ファンは、もうほとんどがシニアだから、あの価格設定でも構わないと考えたのか知らないが、まるで若い人は見るなと言わんばかりの商品パッケージになっている。 黒沢監督の映画は、彼の人生の好不調の波を反映しているかのように、変遷しているから、全集を揃えてみたい作家ではある。やっぱり誰もが指摘するように、老いてからのクロサワ映画は、まことに残念なことではあるが、かなり落ちるといわざるをえない(とケナすよりは、充実期の、奇跡のような作品群をたたえるべきなんだが・・・)。 彼の晩年について、井上陽水が面白いことを言っている。 陽水の意見は、さすがにクリエーターらしい、急所をついた意見と思う。 |
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