第97回 特長のある商品を、特定のユーザー層に絞り込んで売ることが、マーケティングの基本だ。そういう意味でも、マーケティングとはほんらい、商品企画を含む概念だ。できあがった商品を目の前に置かれて、「なんとかこれの売り方を考えてくれ」と言われても、ほんとは限界がある。できれば一度、商品企画の段階で、呼んで欲しいもの しかし、とりたててキワだった特長のない、平凡な商品を、平凡な人たちに売らなければならないこともある。そういう場合にどうするか? 消費者個人の立場で考えても、こだわって買う商品というものはいくつもあるけれども、依然として消費の大部分は、どうでもいいものに関するものである。 平凡な人が平凡な商品を買うときであっても、「とりたてて要求の強くないあなたにぴったりな、どこをたたいても無難な商品です」と言ってはダメだ。そういう平凡な場面であっても、いや平凡な人であればこそ、なにか違う表現で、背中を押して欲しいものなのではないだろうか。 「まじめ、まじめ、まじめ」の三菱の小型車コルトが思ったほど売れずに苦戦しているというが、これは典型的な、平凡マーケティングの失敗例に見える。 |
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